テーマ:童話

仕立て屋と青ひげ   その2

            仕立て屋と青ひげ    (その2)  仕立て屋は勢いよく店の玄関扉を開け、立ちすくんだ。そこにはふだん見慣れた汚ない通りはなかった。足もとから鮮やかな茶色や黄色や紫色によってモザイク状に彩られた地面が広がっていた。先ほど壁を通して見ていたはるか先の地平には、小高い丘の上に建つ城の、真っ黒な影があった。 「…
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仕立て屋と青ひげ  その1

               仕立屋と青ひげ (その1)  昔、ある町に仕立屋が住んでいた。長い年月を、死んだ父親から譲り受けたちっぽけな店ですごし、なじみ客相手に仕立ての仕事をしていた。古くなった看板は傾いて色が剥げ、入り口扉はがたつき、壁には長年の汚れが模様を作っていた。店の中には一人にしては広すぎる作業台、雑然と物が…
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森の中の塔

 果てしなく続く深い森があった。木々は節くれだち、ねじれ曲がって、互いに絡み合った枝には緑の葉が密にかさなりあっていた。さえぎられた陽の光は弱まり、森の底に着くころは真昼でもうす暗かった。空気は湿り気を帯び、霧がたちこめてくれば何も見えず、ただ梢から落ちてくる水滴の音だけが聞こえていた。  年老いた木が命尽きて闇の中へ倒れると、森のあ…
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