Yさんのこと

 これは私が1年目の研修医であった時の、もうかれこれ30年近く前の話だ。  まだ一般の人たちに昔ながらの医師に対しての尊敬が残っていて、医療不信の報道もほとんど無く、コンピューターも普及していない、今から思えばのんびりした時代だった。そのころは携帯電話もポケットベルも無かったから、医師は病院内や自宅にいない限り連絡がつかなかった。…
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かたばみ

 どこにでも生える、ありふれた雑草。アフリカなどの熱帯地方に祖先があるらしく、乾燥によく耐える。根は深く、地下茎や種をまき散らすことで増える、繁殖力がめっぽう強い雑草の代表選手。結構美しい花の種族もあって、花壇からの駆除はいい加減であきらめて観賞することを勧める園芸家もいる。    栄華を極めたときのソロモンでさえ、この花一つほど…
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円山応挙展を見て

江戸時代の画家のことはよく知らない。とにかく絵なるものを見たくなり、円山応挙展を三井記念美術館に見に行った。 展覧会情報は http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html 円山応挙は農家の次男に生まれた。農民である男が、己の才覚を絵筆一本に託して身分制度からはずれて出…
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上村松園展を見て

 さる9月30日 上村松園展を東京竹橋の国立近代美術館に見に行った。  上村松園は日本画の、それも美人画の大家である。明治期の画家で女性であるのはかなりめずらしい。そもそも日本の画家は古い時代からほとんどが男であって、女流画家は存在したことがない。多くの男性の画家たちに混じって、女画家としての修行することはかなり好奇の眼で見られたこと…
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モンゴメリ 赤毛のアン

 先日子供と赤毛のアンの舞台公演を見に行った。それでこの機会に、昔読んだこの物語をまた読みかえしてみた。  マリラとマシューという兄妹の住むグリーンゲイブルスに、男の子と間違われてやってきた孤児のアンが引き取られる。アンは持ち前の明るさと努力で、この家族に受け入れられ、幸福に育っていくという物語である。出てくるアンという女の子は実に生…
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おおいぬのふぐり

 空き地や道端の日当たりのよいところで生える、横に広がる小さな草。春に瑠璃色のかわいらしい花を点々とつける。ヨーロッパ原産で、キャッツアイなどという呼び名もある。じっと花を見ているとその青色と放射状に広がるストライプがとても美しいのに気づく。澄み切った青い色にひかれてこの花が好きになった人が、いろいろな新しい名前を考えてはみたようだ…
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すずめのかたびら

  この草はどこにでも生える。荒れた土地、熱かろうが寒かろうが世界中のあらゆる場所に広がる。もっとも平凡な雑草のひとつである。かたびら、とは日本の袖のない服のこと。 鎖かたびら、と言えば忍者が使う護身服のことで、見たことがあるかもしれない。すずめのかたびらと聞くと、すずめの着そうな、ほこりや泥のついたぼろぼろの、粗末な服を連想する。す…
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おにたびらこ

 おにたびらこ が道端で芽を出し、成長し、花をさかせている。そして種を実らせ、ひっそりと枯れていく。誰も気にとめない。もし誰かの視界に入ることがあっても、認識すらされない。たいていの人にとっては、あってもなくてもよいもの。価値がない。全くの無価値。ましてやこの地味な花を愛する人などはいない。    行け、淫行の女をめとり 淫…
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